『衣食住』の順序は『住食衣』だと考える。

衣食住を図表にまとめると、おおよそ図のような割合となります。
私たちの生活に欠かせない衣食住のうち、「住」は約60%以上の役割を担うことになりますが、これは建物でいうと基礎部分であり、人の身体でいうと下半身(体全体の筋肉量の60%以上は下半身)であり、人が生きる為においての「呼吸」を行うことと同じくらい大事なことだと考えます。
健康を考えるときには、自然栽培、無農薬、無肥料というワードが最近のトレンドになりつつあるように食事のことを考えがちですが、実は一番考えなくてはいけないのは、食べ物(たべもの)ではなく、建物(たてもの)、つまり建築が担う住環境なのです。
私たち人間の一日の呼吸量は500mlのペットボトル2万本分にも相当します。人間は呼吸を止めると生きてはいけません。私たちは人生の60%以上を住環境(建物)の中で呼吸をしています。さらに人生の1/3を寝室で過ごしているのです。基礎となる住、基本となる食を整えた身体をしっかり防護する役割を担うのが衣で、衣を整えようやく人としての基準になるといえるのではないでしょうか。
『居は意を決す』 これは弘法大師空海の言葉であり、居住スペースという環境がいかに大事かというこを先人の言葉が教えてくれます。つまり、「衣食住」は「住食衣」という順序で整えていく必要があるのです。
日本の住環境を考えたとき、食である日本料理は世界遺産になっているにも関わらず、日本人の住の感性は余りにも低いと言わざるを得ません。これだけ鋭敏で敏感な感性をもつ日本人の食文化が構築しているのであれば、おのずと住に対する感性も高い、いや高かったはずです。これは、日本人の住に対する感性が低いのではなく、それを提供できる業者がいなかったかからではないかと考えます。では、なぜ供給出来ないのでしょうか?
住宅の耐用年数は22年(減価償却としての年数)であることを考えると、10年、20年でリフォームを行う、建替えが必要であるという『経済優先』の巨大な仕組みが出来上がっているのではと感じます。
これからは『生命優先』の時代です。
なぜ気候風土の違う海外仕様の住宅を建てるのでしょうか?
なぜ国土の60%以上を占める森林大国であるにも関わらず海外から木材を輸入するのでしょうか?
本物の住宅は『生命』を守るためにあるのです。我々は、魂(宮)を器(ボディ)という乗り物に入れて生きて(生活)しています。その器を安心・安全な空間で守る役目を担うのが住宅であり、魂が喜ぶ住宅が本来あるべき姿です。しかしながら、現代は住宅が原因でアトピー、喘息、その他あらゆる病気を引き起こしているということは明らかです。
住宅を生命を守るという本来の住宅に戻したい。
人も自然(地球)の一部であることから、住は自然(地球上)のものであることであることが必要であり、その思いを『はこぶね』という形にいたしました。
住宅の本来の姿に戻った安心安全な場所に『はこぶね』で連れていきたいと考えます。

住まいは、完成後が本当のスタート。

命によい素材を施主が選び、目的をもって完成した住空間は、そこで生活をすることで初めて『住まう』ということがスタートします。
そこには、生活の工夫が生まれます。住まう上で必要なメンテナンスも発生します。予期せぬ感動や、色々な気付きも出てきます。そんな明るく楽しいはこぶね生活を施主さんやこのプロジェクトに関わった人(はこぶね乗員)で共有することが、はこぶね本舗の役目です。
住空間を整え、次に食、さらに衣を整えていくための情報発信もはこぶね本舗の役目になります。
自然食材の購入、安全な家庭菜園、自家製醗酵食品の製造、自然素材の衣類など、あらゆる専門家を交えての交流や教室の開催も行います。